(相続開始の原因)
第八百八十二条 相続は、死亡によって開始する。
(相続開始の場所)
第八百八十三条 相続は、被相続人の住所において開始する。
ドキリとする文言から始まりました。
883条は、相続に関する裁判を取り扱う裁判所を決めるためのものです。
(法定相続分)
第九百条 同順位の相続人が数人あるときは、その相続分は、次の各号の定めるところによる。
一 子及び配偶者が相続人であるときは、子の相続分及び配偶者の相続分は、各二分の一とする。
二 配偶者及び直系尊属が相続人であるときは、配偶者の相続分は、三分の二とし、直系尊属の相続分は、三分の一とする。
三 配偶者及び兄弟姉妹が相続人であるときは、配偶者の相続分は、四分の三とし、兄弟姉妹の相続分は、四分の一とする。
四 子、直系尊属又は兄弟姉妹が数人あるときは、各自の相続分は、相等しいものとする。
ただし、父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の二分の一とする。
解説
相続人が数人ある場合、各人の相続する割合を相続分といいます。
各相続人の相続分は、900条、901条の規定に定められていますが(法定相続分という)、
被相続人の意思でこれを変更することができます(指定相続分という)。
被相続人が相続人の相続分を決める遺言をしていない場合は、各相続人の相続分はこの規定により定まります。
図解) 配偶者と子のとき →配偶者1/2 子1/2
配偶者と直系尊属のとき →配偶者2/3 直系尊属1/3
配偶者と兄弟姉妹のとき →配偶者3/4 兄弟姉妹1/4
尚、900条4項は、最高裁判決を経て平成25年に改正されています、下記ボタンでご参照ください。
所有権移転登記義務の相続
買主Aと売主Bが、B所有の土地の売買契約締結後、
所有権移転登記の申請前に死亡した場合、
登記義務はBの相続人(仮に子の)C・Dに相続されます。
この登記義務は不可分債務ですので、Aは、CまたはDに対し、履行請求できますし、
CDはそれぞれ履行責任を負うことになります(最判昭36.12.15)。
このときCだけに履行を命ずる判決があっても、Dが協力しなければ、
Aの単独名義に移転登記することができません。
Dが同意するか、持分放棄するか、または遺産分割協議でCのものになれば、
Aの単独名義に移転登記することができます。
さもなければAは、Dに対しても訴訟に及ぶ必要があります。